内−内

暖かな風にさそわれて川沿いを歩いた。川とはいっても古くからの用水路の跡で、子供でも歩いて渡れるような川だ。そんな忘れられそうな川だがこの時期だけは趣が異ってくる。古くから桜が植え揃えられ、もうすぐ訪れる満開の季節ともなると近郊からヒトがお…

アルコール越しの風景

(1) あるヒトに呼び出されてある店に行った。店に入るとそのヒトはまだ来ていなかった。いつもの事で店のスタッフも当たり前のように彼のボトルを出してセットをはじめた。店はカウンターに2つのボックスというありふれた作り、その日もカウンターはほぼ…

二つのカップル

吉田正二(40歳) 吉田亮子(20歳)宮沢和正(39歳) 宮沢玲子(36歳)仲居に案内されてながい廊下を歩くと料亭の中庭が見渡せる渡り廊下に出た。渡り廊下の下には小さな水路がしつらえてあり、静かな音を立てながら水が流れている。月明かりに照ら…

来週の酸欠日記は

こんにちは、フネ*1です。 やっと厳しい冬も過ぎてお昼などはぽかぽかと日差しが強いぐらいの陽気になってきました。昼と夜の気温の差が激しいので、こういう時こそ風など召されませんように。さて、来週の酸欠日記は。 口は災いの元 二つのカップル のニ題…

一人の女が街を出て行く。 気が付くともう10年になろうとしている。最初彼女と会ったのはまばゆいイルミネーションと耳をつんざく騒音の中。わたしの視線は彼女に握られ、離す事ができなかった。最初に交わした言葉は「ねえ、私と寝ない?」この言葉で今度…