今後の原発発電について、そしてひとつ。

最近の原子力発電建設・計画の動向(2007.11.21) JAEA

いわゆる「幸福な過去」といううものか。
原子力ルネッサンスの様子が判る。

ひと苦労して見つけたオリジナルらしきファイル。
(誰かが検証のためにか、商用サイトに保存したのだろう)


"Solar and Nuclear Costs
−The Historic Crossover
Solar Energy is Now the Better Buy"

by John O. Blackburn
& Sam Cunningham
(July 2010)

Prepare for NC WARN

ここ

2010年12月24日にこの文章について触れられている文章。

岩波書店発行『世界1 2011January no.812』
《特集 原子力復興という危険な夢;マイケルシュナイダー他》

「131ページに図6「発電コストの歴史的交差(ノースカロライナ州における事例研究)」を掲載している。
出典が明らかになっているので、それをウェブにて調べたら以下の内容であることが判明した」

2010年12月24日 IOJ会員 鈴木 弥栄男

ここ

この文書で触れられているMITの文章。
(2003年版から、2009年版にアップデートされている、
多分、近々、最新版には更新されるのだろう)

"The Future of Nuclear Power

  • AN INTERDISCIPLINARY MIT STUDY"

ここ


"Blackburn and Cunningham" レポートがニューヨークタイムズに取り上げられたことを受けて、このレポートの不備を指摘する原子力技術者 Rod Adams の文章。

"Gullible Reporting By New York Times
On the Cost of Solar Electricity
Versus Nuclear Electricity"
by Rod Adams

ここ


"Levelized Cost of New Generation Resources in the Annual Energy Outlook 2011" (eia 2011)

ここ

この表がわかりやすり。

Innovation of Japan
NPO IOJ 日本の将来を考える会 ここ

原発の廃止は現実的なのか(I)
平成23年4月12日 NPO IOJ 日本の将来を考える会

ここ


「次世代軽水炉等技術開発 開発の計画と現状について」
平成22年1月28日(財)エネルギー総合工学研究所

ここ

「2050年原子力技術ビジョン
次世代軽水炉から第4世代原子力への原子力技術開発戦略
IAE 財団法人エネルギー総合工学研究所 理事 松井一秋」

ここ

※16ページ目の「エネルギー源別世界の発電電力量」の推移。
2100年までの見通しが描かれている。
この中で、大きな割合を占めて期待されているのが
「FBR」つまり、「高速増殖炉

また、12ページの記載も興味深い。

限りあるウラン資源と、現実的なリサイクルを前提にすると、世界市場で核燃料争奪となり日本には回ってこない。


以上の資料等を受けて。
孫氏のプレゼンのように原子力よりも太陽光発電の方がコストが安いとするのは、誤りだろうと思う。

彼が言うように、現状のテクノロジーで既に逆転が起きているのなら、
なぜ、各電力会社がなだれを打って「コストが安い太陽光発電」に
移行しないのかが判らない。

また、孫氏のいうような「買い取り価格」は、
国際価格比較をした場合、やはり割高となる。
他国よりも割高な電力料金で良いかどうかは今後の議論になるだろう。
(電力料金が高ければ、
それを利用する鉱工業の海外移転を進める)


しかし、
総合的に見た場合、
高速増殖炉」(核燃料サイクル)は破綻しているわけだろうし、
原発開発は脱石油と言う外交的な自立を求めて進めてきたはずだが、

ウラン資源の事や、
その再処理。
更に、今後日本に向けられる国際的な原発規制等を考えると、
ウラン資源によって日本は逆に自立から遠ざかる。

それらを勘案すると、
コストが高くなるのは間違いないだろうが、
今からいっそ、再生可能エネルギーへの移行に進んだ方がよさそうに見える。


しかし、それでも中国は原発開発に進む可能性がある。
その場合の日本の安全保障は?
中国の原発開発に対して、
日本が停止or減速を求めても効果はなさそう、
その場合の外交的緊張が怖い。

実は、逆に今回の「事件」を詳細に検証して、
原子力発電所における事故対策のノウハウを磨き、
将来発生するかもしれない、
中国における原発事故に備えたほうが良いような気がするが、
こんな議論は起きそうも無い。


しかし、
最後に一言。
この議論に非常に不健全なものを感じる。

今語るべき優先順位が違う気がする。
今、語られるべきは。
1.震災被災者支援
2.放射線対策=事故炉対策
3.復興への展望
4.次世代エネルギーの課題(原発開発の是非)
だろうと思われる。

しかし、今は。
4.次世代エネルギーの課題(原発開発の是非)
3.復興への展望 − 2.放射線対策=事故炉対策

と来て。
1.震災被災者支援
が置き去りにされている感が否めない。
これは、非常に不健全だ。