人類の進歩と調和

と、言う訳で「明日」なんだが。
ちょっと前に万国博覧会というのがあった*1。あの時のテーマが「人類の進歩と調和」だったわけで、確かに公害問題であるとか政治の問題なんかもあったわけだけどおおむね皆「明日という字は明るい日と書くのね」*2と了解していた。この明日に対する信頼感は高度経済成長と科学技術の進展が皆にもたらしたものだと言えるだろう。不幸な事にその後、科学技術は広範な公害*3をもたらし、高度経済成長は石油ショック*4、ドルショック*5という壁にぶち当たる事になる。
当時も既にローマ会議*6が「成長の限界」というレポートを出したり(1970年)、核戦争の危機に「終末時計」というものが作られたりもした*7わけで、それらの反省もこめて単なる「人類の進歩」だけではなく「調和」が必要であるとされたんだろうと思う。
ここで面白いのはこれって「人類の進歩」と「人類の調和」だったんだろうね。現在だと自然なんて物まで持ち込んじゃうんだろうけど。まあ、これもおいておいて。
わたしは技術進歩論者だろうと思う。人間の性分として「昨日と同じ明日が続く」というような事ってのはなかなか耐えがたいんじゃないかと思う。なので安易な「環境保護」「縮小均衡論」には賛成できない。というよりももう一歩ぐらい踏み込んでいるかもしれない。結局当の「環境保護」にしてからが「一人一人の心がけ」なんかよりも排煙脱硫装置だの省燃費のエンジンの開発だのの技術革新がもたらした効果の方が大きいと思っているし、地域コミュニティーセンターなんぞに牛乳紙パックもって紙漉きなんかやってたり、廃油を集めて石鹸作ってるのみると。「おいおい、その排水はどこに流すんだよ」と鼻白んだりする。ゴミなんぞも分別する労力(=コスト)を考えたら全部集めてさっくり燃やしちまった方が総環境負荷少ないんじゃないかと思うけどね。
またこの日本社会は「環境にやさしい低消費循環型社会」になっているかもしれないけど、それはひょっとすると日本社会やら所謂「豊かな北」だけがより生き延びるようにって言っているだけで、実は南を切り捨てているのかもしれないなってな気にもなる。更に、そんな事言っている間に中国はガツンガツン大量生産大量消費に社会がシフトしてきて、その影響がアフリカやら中東にも及んでいるんじゃないかという気がする*8
そう考えていくと所謂「技術信仰批判」というのはあまり当たっていないように思うわけさ。結局「原発反対!」といってもそれに頼らなければならない社会なら、よりリスクの少ない技術革新と情報公開が必要なんだろうと思う。まったく情報が隠蔽されて、「お国が安全というたら安全なんじゃ!(大仁多厚風)」という「大本営発表」は聞きたくない、危険ならどの程度危険で、それに対してどの程度の覚悟が必要か語るべきだろう*9
技術の発展を即すのは情報の共有であるだろうし、その技術を社会と調和させるのも情報の共有であるだろう*10
公害であるとか、薬害などの技術の暴走も社会を危険に陥れるし、
社会も技術に対して理解の目と聞く耳を持たなければならない。

「プロは説明責任を持つ」
「技術者は独善に陥ってはならない」
てな話題まで行き着かなかった。

参照サイト:
http://deztec.jp/design/04/03/000212.html
http://kotonoha.main.jp/2004/03/27page-stolen-end.html#comments
http://dac.lolipop.jp/blog/archives/000042.html
http://dokusha.hp.infoseek.co.jp/any/test20040326.html

*1:おいおい、どれだけ前だよ。

*2:作詞:アン真理子 「悲しみは駆け足でやってくる」の一節。

*3:実際にはその前から水俣病四日市ぜん息,イタイイタイ病などの問題が各地で起こっていた

*4:第1次石油ショック:1973年10月第4次中東戦争勃発、OPEC石油輸出国機構)は原油価格を一挙に4倍に引き上げた。

*5:1971年8月米国のニクソン大統領はドル防衛の観点から、ドルの兌換停止。円ドルの交換レートは360円の固定相場から変動相場に移行された。

*6:はいはい、「ローマ会議は欧州の南半球切り捨て政策ではないなおか」とかいうような議論は今度やりましょう。

*7:はいはい、ウヨサヨ論議は覚えてたらやりましょう。

*8:例えば、イラク派兵にともなって現地の模様なんぞ伝えるニュース映像なんかあるじゃないですか、あれ見ていると日本製品をミエミエコピーした商品が売られていたりするんだよね。で、こういったものがどこで作られているのかと「憶測」すると元気の良い某地帯が思い浮かぶわけさ。

*9:このへんも「鶏卵論」になりそうなのでおいておく。

*10:強引な論理転換だな