嘘と建前の多重構造

堀江の話はややこしい。なぜややこしいかというと幾重にも嘘、または嘘とは言えないまでもの建前という奴が乗っかっているからだ。自分として興味があるのは、今のインターネットに一次情報が減っているかどうか、そしてそれはどう言う意味を持つのかって話しなんだけど、それはまあ後の話と言うことで。
堀江の話の嘘、またはその建前として、堀江が求めているものが本当のところはわからない。また、その堀江に金を貸したリーマンの求めている本当のところもわからない。
普通素直に考えれば堀江は「金」を求めているのだろうから、ニッポン放送の株式を取得しようってのはそのニッポン放送の押さえているフジ・サンケイグループの資産を押さえたいんだろうと思える。つまり、ニッポン放送を支配して即座に資産を換金して利益を出して疾風のように去っていく。コレが一番儲かる話なんじゃないかと思える。いわゆる「ハゲタカ」の手法と目されているものだろうな。
もう少しキッチリと見ると、ニッポン放送の企業としての運営に何らかの瑕疵が有るように見える場合、経営権を獲得して企業リソースを再配分、活性化させて収益を上げるって方法もあるだろう。
しかし、ここで日本のラジオ放送という環境を見た場合、つまり、ニッポン放送と言う企業の本業を見た場合、それは成熟した企業であり、且つそこそこ当たり前の企業運営がなされていると思われる。外から経営者として乗り込んでコレ以上の収益を上げると言うような手法が取れるとは思えない。
こういった事例と言うと日産のゴーンを連想しやすいんだけど、日産自体労使問題であるとか活力の無くなった企業から、そのマイナス要素を取り除いて収益性の有る企業に再生させたってことで、そもそもの素材が「良かった」とも言える。翻ってニッポン放送にそのようなマイナス要素があるんだろうか?
もうちょっと「うがった見方」をしてやって、ニッポン放送の経営支配がフジ・サンケイグループの支配であるとみなしてみる。これをわざわざ「うがった見方」と書いたが、ひょっとすると堀江自体は単純に信じていたのではないかというふしが垣間見える。それならそれでおめでたいとしか言いようが無いが、よしんばフジ・サンケイグループ全体を飲み込んでしまったにして、上の「ハゲタカ」方式、「ゴーン」方式、そのどちらかが適合できるだろうか。
なんのかんの言っても日本のマスメディア−コングロマリットであるフジ・サンケイグループにたいした経営能力を持っているとも思えない一人の人間が乗り込んでいって即座に収益性を上げられるとは思えない。
そもそも、堀江自身が、インターネットがマスメディアを殺す、無化すると見越しているのなら、そのマスメディアを支配しようとするってのが矛盾じゃないんだろうか。確かにインフラとしてのインターネットは徐々に媒体を駆逐していくのかもしれない。そして今そこに必要なのはコンテンツなんだろう。フジ・サンケイグループのもつポニーキャニオンであるとか、ニッポン放送やらフジテレビ自体が持っているコンテンツは価値があるのかもしれない。しかし、それは逆に一つのインフラとして力を持ち得る可能性を無化するかもしれないのだ。
つまり、東京電力になれるのに、なぜフジテレビにならなければならないのか。
(何段階にも飛躍している話だなぁ)

堀江ってヒトはどうも自分を客観的に見ることができないヒトなんじゃないんだろうか。自分がやっていることとか言っていることが、他人にどう映り、どう評価されるか、あまり気にしなかったりするヒトなんじゃないかな。