おおよその位置関係

「伝説の作家」佐々木敏イラク人質事件は「共産党を陥れる為の罠だったのではないか」みたいなすっ飛んだ推論を展開しているけれど。まあ、フィクションライターというのはこれぐらいすっ飛んだ発想ができなければ勤まらないんだろう。
例えば今「共産党をぶっ潰せるスイッチ」が有ったとしてこれを渇望しているのは誰かといえば多分、野党民主党だろう。自民党は(一部ファナティックな反共を除いて)現実的な奴らは共産党の存在を心強く思っているだろうし、公安なんか飯の種なわけだからそれを潰そうなんてよもや思いもしないだろう。
現在のような選挙制度では共産党のような強硬な反与党勢力というのは、温調的な反与党勢力である民主党から票を奪う効果がある。実際に各選挙区で共産党民主党選挙協力があれば(周辺に及ぼす効果をおいて)民主党議席は今以上に伸びる。つまり、共産党という「死に票」が自民党議席を助けているという効果がある。
また、現在のような経過的な二大政党制においては40%の与党と40%の野党が存在し、結果として20%のマイノリティーがすべてに対してイニシアチブを取れてしまう。この20%の中に共産党という実効性の無い部分があり、公明党という存在が有る。
この両者は独特の理念によって強固な党派を構成している。

今般の年金制度改革は、結局受益者の保護と、社会保険庁(さらに財務省)の責任回避の意味しか持ち得ないだろう。それらの責任はさておいて、とりあえず支給を続けろと言っているにすぎない。
この負担においては国の産業、雇用にまで悪影響を及ぼしかねない問題を抱えている。
どうも、公明党が求める年金制度の安定(100年の安心)と、自民党旧福田派(つまりは小泉派)の求める、自衛隊の海外派兵が交換されたのではないか。

公明党というのは政治的には幼稚な政党であるので、今回のイラク人質事件でも「人命尊重の為の撤退」を言いかねない。(または、人質が死亡した場合、派兵を存続しきれない)と、するならば、官邸は連立の枠組みを維持する為にも事件を解決する必要があった。さらに、よもやの際には「自衛隊派兵」との世論の連携を予め切っておく必要があった。ここに逢沢をアンマンに派遣するというような過剰反応と、官邸主導の(?)自作自演説の流布という世論誘導が発生した。(攻殻機動隊でジャミング情報の散布みたいな場面があったわけだが、それをリアルに見たのかもしれない)(この実行者は官邸とも限らない(1)自生的に発生した(2)外務省だの公安だのの行政機構の一部かもしれない(3)公明党の支援団体(その中に有る与党連立派)または小泉支持団体(国家主義的な理念を掲げる団体)の悪夢のようなコラボレーションがあったのかもしれない)
多分、この辺りの真実は最後まで表には出てこないだろう。判り得ない。

この公明党の支援団体というのは今や自民党政権を支える強固な「票田」にもなっている。自民党議員といえどもこの団体を無視しては議席を守れない。日本最大のアンタッチャブルとなっている。
しかし、実はこの団体は長期低落傾向にある。
今は、公明党という形で明確にその総数も把握できるわけなんだが、一番恐ろしいのはこの隠然たる伝説を残したまま、解党をして、自民党の支援組織として影響力を行使し続けることだろう。
これこそ悪夢だ。