自己責任
衆議院予算委員会 平成15年1月23日
上田 清司(民主党・現埼玉県知事)
おまけに、これは国民の皆さんが聞いたらもう腹が立ってきますよ。これは、厚生年金保険制度の回顧録*1という、厚生省絡みの財団である厚生団が発行した本なんですよ。この年金制度ができたころの立て役者の花澤さんという人を囲んで、対談ですけれども、対談者の相手は大体年金局長だとかやった人たちばかりです、四人ほど。その花澤*2さんがどんなことを書いているかを、資料の2―5と6に書いてあります。
これ、いいですか、「この膨大な資金の運用ですね。これをどうするか。」「いちばん考えましたね。この資金があれば一流の銀行だってかなわない。今でもそうでしょう。何十兆円もあるから、一流の銀行だってかなわない。これを厚生年金保険基金とか財団とかいうものを作って、その理事長というのは、日銀の総裁ぐらいの力がある。そうすると、厚生省の連中がOBになった時の勤め口に困らない。何千人だって大丈夫だと。金融業界を牛耳るくらいの力がある」と。
「そして年金保険の掛金を直接持ってきて運営すれば、年金を払うのは先のことだから、今のうち、どんどん使ってしまっても構わない。使ってしまったら先行困るのではないかという声もあったけれども、そんなことは問題ではない。貨幣価値が変わるから、昔三銭で買えたものが今五〇円だというのと同じようなことで、早いうちに使ってしまったほうが得する。」と。
そして、「何しろ集まる金が雪ダルマみたいにどんどん大きくなって、将来みんなに支払う時に金が払えなくなったら賦課式にしてしまえばいいのだから、それまでの間にせっせと使ってしまえ。」と。そのとおりやっているんですよ。
こんな年金制度に収奪されても、「国が決めたことだから」自己責任なんでしょうな。
そんな制度は嫌だといって支払いを拒否して、いざとなって生活に困窮しても、自己責任なんでしょうな。
わたしはそんな前提に立たないので*3、生活保護を受けているヒトを「自己責任の放棄」などと思わず、当然の権利の行使と思うけれども、自己責任を言い募るヒトはよもや困窮しても生活保護の請求はしないんだろう。