外務省はどっちをむいているか

外相ビデオ自衛隊部分の削除要求 「反感あおる」と家族

 川口外相が、日本人の人質3人の解放を武装勢力サラヤ・ムジャヒディン」に呼びかけるビデオメッセージを収録し、海外に発信しようとしたことについて、人質の家族らが反発、内容の一部削除を求める騒ぎが11日未明にあった。外相は「あなた方が人質にしている3人は、純粋の民間人でイラクの友人です」とするメッセージの中でイラクの復興支援について触れ、「自衛隊もこのために派遣されているのです」と述べた。
 人質の家族らは自衛隊の部分について、犯人側を刺激する可能性があるとして、「人質に少しでもリスクのあるものは外してほしい。犯人側の反感をあおることは絶対にしないでほしい」と削除を申し入れた。外務省は同意せず、同省によるとメッセージは海外の英BBC、米CNNなどで放送されたという。
 このビデオメッセージについては、人質3人の活動などを現地に伝え、解放を求めてきたフランスのNGO(非政府組織)「グローバル・ウオッチ/パリ」(コリン・コバヤシ代表)も同日、バグダッドの友好団体から「人質解放の扉を閉ざす危険性がある」との警告を受け取ったことを明らかにした。
 コバヤシ代表は「市民の国際的ネットワークが解放に向けて努力しているのに、日本政府が自衛隊派遣を正当化することは占領の正当化ととられ、イラク民衆の感情を逆なでする」と批判した。

なぜ外務省は同意しないのだろう。
この状況で外務省の意思になんの意味があるというんだろうか。

スンナ派

(こういう「揚げ足取り」ばかりするから嫌われる、
まあ、嫌われて上等だけど)
http://d.hatena.ne.jp/solar/20040411#1081641164

「そんな事、スンナ派!」ってか?

追記:
スンニ派」と呼び習わされている宗派は正確には「スンナ派」と表記されるべきであるということだそうですが。そんな事はどうでもよろしい。結論だけこちらでも再記すると。
「そんな事、スンナ派!」ではなく、「今後もバンバンやりなさい!」ということだ。そしてトラブッた時の外務省だろうがヨ。

イラク人質事件自作自演説、中日新聞報道

秀真のところを踏み台にさせてもらいますが。
http://d.hatena.ne.jp/hotsuma/20040411
中日新聞に次のような報道が載った。

犯行グループは先月設立の連合体か:イラク人質事件
【カイロ=嶋田昭浩】イラク邦人人質事件で、「サラヤ・ムジャヒディン戦士旅団)」を名乗る犯人グループと、人質となった北海道千歳市のボランティア高遠菜穂子さん(34)との間に接点があった可能性が浮上した。

抜粋すると。
「アハバル・アルハリージ」(バーレーン紙)が「イラク解放国民戦線」という組織が結成されたと報じた。その組織の設立趣意書には「バグダッド、バクバ、キルクーク、バスラなど(イラク各地)のサラヤ・ムジャヒディンは、一つの組織のもとに結集し、米英の占領からのイラク解放という一つの目標に向け活動する」という記載があり、今回の事件の犯行グループ「サラヤ・ムジャヒディン」という名前がここでうたわれている。
そしてこの「国民戦線」は「ムハンマド軍」(ファルージャを拠点とするイスラム系の抵抗組織)と関係のある人物らによって「設立」されたとみられる。(嶋田昭浩記者の分析)

一方、高遠さんが事件前、中日新聞記者らに、自ら「ムハンマド軍」の名を挙げて、同軍のメンバーに極めて近い人物と接触したと語っていた。としている。

わたしの受け止め方。

まず、現地でボランティアとはいえ、活動をしようとするのであれば様々なグループ(国際的な支援団体、CPA、米国などの組織をはじめ、現地の部族グループ、政治的グループなど、なんでも)と接触を図ることは考えられる。高遠自身も米国の撤兵を求めていたのだろうから、接触が有った事自体は不思議とは言えない。
逆に、そのような組織とのコネクションを利用して高遠自身が安全を図った可能性もある。
すなわち、高遠が安全を図る為にコネクションを作ったつもりが逆に人質として利用されてしまったという可能性もある。また、腑に落ちる推測じゃないだろうか。
今回の事件で運転手の行方など不明なんだが、高遠がこれらの組織に運転手、ガイドを手配してもらった可能性ももちろんありえるだろう。
もちろん、高遠も承知しての「自作自演」の可能性は残る、しかしこれをもって彼等の「自作自演」を推量する材料には乏しい。

[内→外]イラク人質事件:浅田彰

「続・憂国呆談」Webスペシャル イラク人質問題をめぐる緊急発言
http://dw.diamond.ne.jp/yukoku_hodan/20040410/index.html
三行以内にまとめてみると。
「とっとと自衛隊を撤退させて人質解放を!」ってことだろう。(あ、三行も要らなかった)
こりゃ酷い意見だな。まさに呆談だ。ダッカ事件の超「法規的措置」を評価しているけれども、一体何を見てきたんだろうか。先にも書いたように、人質テロに成功事例を作ってしまうと人質テロの有効性を信じて次々と同様のテロ行為が起きる。だから意地でもテロリストの要求を飲んではいけない。(今回民主党や人質家族が強行に「超法規的措置」を求めなかったのも、これ以降の事件続発を危惧してのことじゃないかと推測する)
自衛隊が「人道支援」ではなくて「占領」の為に出ていったとしても、人質をとっての要求に応えてはいけない。(というか、「人道支援」だから撤退しないなどという意見もバカの迷言だろう)
浅田もこの陥穽に落ち込んでいるが、自衛隊の派兵の正当性と、今回の事件は切り分けて考えなければならない。

イラク人質事件解決?

今、一報が入ったようです。
ニュースソースはハッキリしませんが、
人質3人の安全が確認されたようです。(13時55分)

先ほどのNHKのニュースでは未明の犯行グループからのFAXを知らせただけで終わりましたね。(14時20分)

ファルージャで安全が確認されたそうだ。(15時)
停戦中とはいえ、最も熱い場所だな。

追記:23時
「人質解放」は誤報、勇み足だった
http://www.nikkansports.com/ns/general/f-so-tp0-040411-0016.html
アルジャジーラが「解放を報じた」と時事通信が勘違いし。
ロイター通信、新華社が転電
TBS=速報テロップ、毎日新聞=Webで速報
ということだったらしい。

週刊文春問題における本多勝一

週刊新潮(4月15日号)に面白い記事が載っていた。本多勝一が4月4日の東京新聞読者欄に投稿していたというのだ。件の文章を読みたいと思ったが手に入らなかったのでこの週刊新潮の記事から引いてみたい。

名誉毀損については私もその一被害者
(略?)
殺人・強盗・詐欺の類の記事を読んで楽しむ読者などはあまりいないが、名誉毀損についてはそれを楽しむ人々の層が厚く、それだからこそ成り立っている週刊誌や『噂の真相』ということが言えよう。
(略?)
週刊文春』の出版禁止事件で「言論の自由」の危機を訴える識者が多いが、危機をもたらしたのは名誉毀損やり放題の『噂の真相』などの悪質誌自身であろう

この本多自身が、自らのリクルート接待疑惑を報じた岩瀬達哉を「パパラッチ記者」「飼い主にカネで雇われた番犬・狂犬の類」「卑しい職業の例にあげられる売春婦よりも本質的に下劣な、人類最低の、真の意味で卑しい職業の連中」(『週刊金曜日』97年10月3日号(これも週刊新潮からの孫引きのまま))と罵って、裁判で限度を超えているとされているんだけどね。
どうなってんだろうね。

イラク人質事件の周辺というか辺縁

アルジャジーラが報ずる所によると、犯行グループが人質を解放するという声明を出したようだ。もし本当ならありがたいことだ。
観測によると、犯行グループに対して現地族長などからの働きかけがあり、イラク人民にも受け容れられないテロ行為に対する反発という政治的判断から人質の開放にいたったらしい。
まだ、解放もされていないし、単なる推測に推測を重ねる作業なんだけど、この辺りまでの流れは腑に落ちる。これを受けて考えたいのは。イラクの人々の中には親米VS反米というようなバカな二者択一ではなく、比較的冷静で健全な政治的判断が働いているのでないかという希望だ。確かに一部先鋭化したグループもあるのだろうが、それらは民衆と遊離していて広範な「運動」に広がらない。
確かに、今彼等に必要なのは親米でも反米でもなく職と食なんだろう。
この判断に引き比べ米国の、力だけで押すブッシュ政権の方が幼稚に見えるし、このはてな界隈(壷は言うに及ばず)で見受けられる「自作自演説」などの言説は“電波”と分類するに十分だろう。
どうも、日本の国民よりもイラクの国民の方が理知的な気がする。(まあ、「国民」なんてあやふやで雑駁な区分けを比較しても意味がないけど、恥を思うには十分でしょう)

「自作自演説」にはすぐに底の割れる「根拠」もあるが、もし自作自演だとしてもそれにまつわるリスクに思い至らないとすれば「おめでたい」としか言いようがない(「平和ボケ」というやつだろう)。日本国内でわがままなガキが親から小遣いをせびろうと狂言誘拐をするのとは訳が違う。
つまり、もしも自作自演グループが人質「役」の3人と息を潜めているとして、米軍に見つかれば即座に生命の危険があるわけだ。そのようなリスクをおして自作自演という政治的パフォーマンスを画策したとするのならば、それはそれで汲むべき所はあるのではないかという気がする。
まあ、とりあえず。解決を望みつつ情報を待つという態度が必要なのではないだろうか。判定は何時でもできる。



追記:
面倒くさいけど、「自作自演説」で盛り上がっているお子達は読解力がないようなので念を押しておこう。
上の文章では「自作自演説」を否定はしていない。それを否定するだけの材料などない。もちろん、自作自演説を裏付ける材料もない。
わたしの興味はイラク情勢だとか、この事件を受けての小泉政権の動きだの外務省の能力だのよりも、喜んで「自作自演説」を振り回すお子達の心情に移っている。